笑いながら、、、

　もう何年も前のことです。たぶん、20年以上前になると思いますが夕方のニュースを見ているとその映像が紹介されました。
「アメリカからとんでもない映像が届きました」「笑いながら橋から飛び降り自殺をした人の映像が届きました」と紹介されて橋に固定されたビデオカメラに笑いながら手を振り、飛び降りていく人の映像が放送されました。高校生だった私はかなりショックを受けました。それに心理学者やその分野の専門家が「アメリカ人は理解に苦しむ」「日本人では考えられない」とその行為にコメントしていました。
　それから１０年以上たってバンジージャンプというスポーツをテレビで見る機会がありました。その映像はまさに笑いながら飛び降り自殺したそのシーンに一致しました。長い間胸につかえていた何かが取れた瞬間でした。最初の映像を見た当時はバンジージャンプなるスポーツを知っていた人は世界中でもほんの一握りの人だったでしょう。おそらくビデオが何人もの人の手を渡ってくる間に「バンジージャンプ」⇒「飛び降り自殺じゃないのか？」と変化してしまったのでしょう。恐ろしいのは「これは自殺です」と言われれば疑う余地が無いほどの映像の説得力とテレビの影響力です。何事も、まず最初は疑ってかかることも必要かもしれません。.