1月23日日曜日東京の日暮里で講習会がありました。そのレポートです。
今回は当院でも開始する予定の「唾液検査」の講習会でした。唾液検査でわかることやその結果をどう利用するかを勉強してきました。
講師の先生は日本歯科大学教授「鈴木章先生」です。
ポイント
「むし歯予防は歯科医療者にとっても患者さんにとっても多大なメリットをもたらす
歯医者を長年やっていると
「あー、もう少し早く治療をしていれば神経を抜かずにすんだのに」
「あー、もう少し小さなむし歯だったら簡単に治せたのに」
と思うことがしばしば、いや、毎回思っています。
早め早めの処置は治療内容が簡単になるので治すほうも治されるほうも肉体的、精神的、経済的のすべての面で軽減されます。この究極的な目標は「むし歯にならない」ということです。
しかし一言でむし歯にならないといってもその目標を達成するには歯科医院も患者様も双方に努力が必要です。「虫歯を治す労力」も「むし歯にならない労力」も、ともに大変ですが、どちらに力を注ぐかによって未来は大きく違ってきます。そこがポイントです。
<本日の内容>
1、ウ蝕は感染症であり、生活習慣病である
虫歯菌(ミュータンス菌)は生まれたての赤ちゃんの口の中にはありません。いつの
間にか感染します。その経路は詳しくはわかりませんが可能性としては近親者からの
感染が濃厚です。一般的には母親からの口移しによる感染が疑われます。しかし
赤ちゃんを育てていて口移しによる感染を心配しすぎると大切なスキンシップに
影響が出てしまいます。そこで少なくとも母親のミュータンス菌の質を変える
ミュータンスコントロールが必要と考えます。ミュータンスコントロールとは
キシリトールを一定期間以上利用するとむし歯をおこしにくいミュータンス菌に
変化させることです。
2、ウ蝕の発症を防ぐことは医療の一部である。
「早期発見早期治療」から「定期検診むし歯ゼロ」を目指していくのが理想
ですが現段階 では予防には保険が適用されていません。
3、ウ蝕の発生は予測可能である。
食事を含めた生活習慣、唾液の性質、お口の中の虫歯菌、歯周病菌の量を調べて
全身疾患、フッ素の利用状態、などを調べることによってある程度予測ができます。
4、歯磨きだけがウ蝕予防法ではない。
フッ素、キシリトールの利用、生活習慣を変える等総合的に考えなければなりません。
5、キシリトールはミュータンス菌を変える。
ミュータンスコントロールを行なう。
現在のキシリトールに関する研究では「キシリトールは歯にとって良いことは
わかっているがどの段階でどれくらい摂取すると一番効果的かは研究段階である」
6、水道水のフッ素添加は容易でない。
アメリカの水道水のフッ素に対する基準は1.2ppm以下。
日本では0.8ppm以下(現実に蛇口から出てくるときは0.1〜0.2ppmであるらしい)
地域住民の合意がなければ水道水へのフッ素添加は実現しません。
7、予防はお金がかかる。
お金もかかりますが労力も相当かかります。
唾液検査の<パンフレット>ぜひ皆さんもやってみてください。
結論
楽して虫歯は防げない。どうせ苦労するなら予防に力を注いだほうが
人生楽しい。